日本における死刑廃止に関する公開書簡
国際人権連盟 (FIDH)
17, passage de la main d’or, 75011 Paris, France
電話: 33(0)1 43 5525 18
E-mail: fidh@fidh.org
ウェブサイト: www.fidh.org
世界死刑廃止連盟 (WCADP)
3, rue Paul Vaillant Couturier, 92320 Châtillon,France
電話: 33(0)1 57 6309 37
E-mail: committee@worldcoalition.org
ウェブサイト: www.worldcoalition.org
公開書簡宛先:
内閣総理大臣 野田 佳彦 殿
法務大臣 平岡 秀夫 殿
2012年1月3日,パリ発
親愛なる 野田佳彦内閣総理大臣、平岡秀夫法務大臣
国際人権連盟(FIDH)および世界死刑廃止連盟(WCADP)は、日本における死刑問題の改善において重要なこの時期にお手紙を差し上げることを光栄に存じます。貴国では2010年7月28日に尾形英紀氏および篠沢一男氏に対する死刑執行が東京拘置所で行われて以降、死刑が執行されていません。FIDHおよびWCADPはこの前向きな展開を歓迎いたします。2011年は1993年以降で初めて、死刑執行のない年となりました。とりわけ私たちは、平岡大臣が、国内で直面する困難な状況にもかかわらず熟慮のうえとられたイニシアティブを称賛するものです。
ここにFIDHとWCADPは、日本政府がこの努力を維持されるとともに、今後もいかなる死刑執行命令をも下すことなく、慎重な研究を開始し、日本の社会および国会において死刑に関する議論を行うことを求めます。
死刑の廃止について研究し、政府への提言を行うべく、市民社会の代表者を含む幅広い専門家からなる独立した審議会を可及的すみやかに設置することは、日本の利益となるでしょう。
世界の三分の二以上の国々が、法律上ないし事実上死刑を廃止しています。アジア太平洋地域の41か国中、17か国はすべての犯罪について死刑を廃止し、9か国は事実上死刑を廃止し、1か国(フィジー)は死刑を例外的な軍事犯罪についてのみ適用しています。アジア太平洋地域においても、この究極かつ回復不可能な刑罰をいまだに用いている国々は、半数に満たないということになります。
G8参加国のなかで、死刑を用いているのは日本とアメリカだけであり、ロシアは1996年以降、死刑を一切執行していません。アメリカにおいてすら、16の州およびコロンビア特別区が死刑を廃止し、最近、オレゴン州知事は、自身の任期中は死刑執行を認めないと表明しました。2011年9月9日には、韓国は死刑執行ゼロ5000日を達成しました。2010年1月には、モンゴルの大統領が死刑の執行停止を宣言し、死刑の廃止を求めています。
アジアの主導的民主国家であり、また国際社会における重要な国家である日本が、死刑の廃止に向けて正式に取り組むことは、国際的な潮流に合致するのみならず、生命に対する権利が尊重され守られなければならないという、強力なメッセージを世界中に発信することとなります。
お目通し頂いたことにお礼を申し上げるとともに、この重要な問題に関して今後とられるであろう措置について、首相並びに大臣に感謝申し上げます。
敬具
FIDH議長
スヘイル・ベルハッサン
WCADP議長
フローレンス・ベリヴィエ