刑事施設における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大を防止し被収容者の生命・健康を守るよう求める声明
2022 年3 月3 日
NPO 法人監獄人権センター
2022年1月以降、全国の刑事施設において、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染が再び急拡大している。オミクロン株の感染が拡大したとみられる本年1月、2月においては、府中刑務所、横浜刑務所(横須賀刑務支所含む)をはじめ複数の刑事施設で、大規模な感染が発生している。
新型コロナウイルスに罹患した職員の方々、被収容者の方々の一日も早い快復を願うばかりである。
監獄人権センターは3月2日、福島瑞穂参議院議員を通じて、全国の刑事施設の新型コロナウイルス感染状況に関する情報を入手した。
刑事施設被収容者のうち、新型コロナウイルス感染症に関連して、2021年に4人、また2022年1月~2月の二カ月間で3人が死亡していることが分かった。重症等により外部医療機関に入院した被収容者は、2020年に1人、2021年に12人、2022年1月~2月の二カ月間で5人であった。
当センターは2020年4月28日に「刑事施設等における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大を防止し被収容者等及び職員の安全確保を求める声明」を、2021年2月8日に「刑事施設等における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のさらなる感染拡大防止を求める声明」を発表し、法務省等関係官庁に対して、適切な感染防止対策の実施等を要望してきたところであるが、あらためて、早急に以下の措置の導入・実施を求める。
1.感染が発生した施設の全収容者に対する速やかなPCR検査の実施
2.感染者数、外部医療機関への入院者数、死者数などに関する正確な情報の公表
3.感染者に対する適切な医療の提供と感染の拡大防止
刑事施設で新型コロナの感染がひとたび発生すれば、施設側の管理責任が厳しく問われるだけでなく、矯正処遇や刑事処分を適切に行うことが困難となり、我が国の刑事司法制度の運用に重大な影響を与えることとなる。
また、刑事施設内の感染拡大で最も重大な被害を受けるのは、その場から逃げることが絶対に許されない、被収容者である。
当センターは、法務省および全国の刑務所、拘置所に対し、新型コロナウイルスのさらなる感染拡大防止に向け、以上に述べた適切な措置を速やかに講じるよう強く求めるものである。
以上
<福島瑞穂参議院議員提供による公表データ>
1.刑事施設被収容者のうち、新型コロナウイルス感染症に関連して死亡した者の人数
2020年 0人
2021年 4人
2022年1月~2月 3人
2.新型コロナウイルスに感染した刑事施設被収容者のうち、重症等により外部医療機関に入院した者の人数
2020年 1人
2021年 12人
2022年1月~2月 5人
3.刑事施設被収容者の「休養患者」のうち、新型コロナウイルスに感染していることが判明した者の人数
2020年 11人
2021年 423人
2022年1月~2月 565人