NPO法人監獄人権センター

STATEMENT声明・意見書

滝実法務大臣による死刑執行に抗議する

声明・意見書

2012年9月27日
NPO法人監獄人権センター

   滝実法務大臣は、本日(9月27日)、江藤幸子氏(仙台拘置支所)、松田幸則氏(福岡拘置所)の2名に対し、死刑を執行した。女性に対する死刑執行は,1997年8月1日以来15年ぶりであり,松田氏は上告を取り下げにより,必要的上訴の要請を充たさないまま死刑判決が確定した。

   今回の執行は,滝法相による前回の執行から僅か2か月足らず、民主党政権下では本年8月3日に続き4度目の執行である。滝法相は,本年6月に行われた就任直後の記者会見において、個々の死刑判決について判断をしていくと述べていたが,短期間で相次ぐ執行は,慎重な検討がなされなかった可能性を強く示唆するものである。

   死刑廃止が揺るぎない国際的な趨勢となる中で、死刑制度を存置し、かつ執行を行う日本は、年を追うごとに際立った存在となりつつある。日本政府は、自民党政権時代から,条約機関による審査等において再三にわたり勧告を受けてきたにもかかわらず、それらの勧告を何一つ受け入れず、死刑制度を維持する姿勢を示してきた。そして今回の執行は,10月10日の世界死刑廃止デーを目前に控え、かつ,国連総会による死刑執行停止決議採択に向けて準備が行われているさなかで敢行された。これは「死刑の存廃や当面の執行停止、死刑の告知、執行方法などをも含めて国会内外で幅広く議論を継続していく」(民主党「政策インデックス2009」)との方針を完全に捨て去り,従前どおりの秘密主義に回帰し,定期的な死刑執行を目指していくことを宣言したに等しい。

   監獄人権センターは今回の死刑執行に強く抗議するとともに、死刑執行の停止、そして死刑制度廃止の政策的実現に向け、今後も取り組んでいく決意である。

以上

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