NPO法人監獄人権センター

STATEMENT声明・意見書

取調べの全過程の録音・録画を求める要請書

声明・意見書

2012年11月7日
 

法制審議会「新時代の刑事司法制度特別部会」
部会長 本田勝彦 殿

 法制審議会・新時代の刑事司法制度特別部会において取調べの録音・録画の法制化について議論が進められている中、私たち取調べの可視化を求める市民団体連絡会は、全過程の録音・録画が早急に実現されるよう要請いたします。

足利事件や布川事件など冤罪事件の教訓として、取調べの全過程の録画が必要であるという考えは、日本社会の中ですでに浸透しつつあります。そうした中、検察および警察は、取調べの録音・録画の試行を進めていますが、全過程の録音・録画については未だに消極的な姿勢をみせています。

しかし、取調べの一部の録画では、被疑者がどのように供述したか、その過程を知ることができません。そのため、取調官による被疑者への威嚇、脅迫や暴力的な行為、また取調官による誘導を監視し是正できないことは、これまでの冤罪事件の被害者の証言からも明らかです。

諸外国では取調べの「可視化」は全過程の録音・録画が大前提であり、捜査官自らが、違法な取調べを抑制し、虚偽の自白を防止するだけでなく、信用性の高い証拠が作成され、裁判における正確な事実認定に寄与する効果が見られたなど、その利点を挙げています。こうした諸外国の経験や技術は、日本で全過程の録音・録画を義務化するにあたり、大いに参考になると考えます。

取調べの録音・録画の法制化の方向性を示すにあたり、法制審議会は、違法な取調べを適正化し、取調べを受けるすべての人の権利を保障することを第一の目的とし、全過程の録音・録画が基本であることを明確に打ち出すべきです。

また、取調べの全過程の録音・録画の法整備に加え、代用監獄制度の廃止、証拠の全面開示など、国際的な条約機関から繰り返し勧告されている点についても、国際人権基準に沿った改革の方向性を示すよう、あわせて要請いたします。

取調べの可視化を求める市民団体連絡会
【呼びかけ団体】
アムネスティ・インターナショナル日本/監獄人権センター/日本国民救援会/ヒューマンライツ・ナウ

【構成団体】国際人権活動日本委員会/志布志の住民の人権を考える会/社団法人自由人権協会/人権と報道・連絡会/菅家さんを支える会・栃木/富山(氷見)冤罪国賠を支える会/フォーラム平和・人権・環境/名張毒ぶどう酒事件全国ネットワーク/袴田巖さんの再審を求める会/袴田巌さんを救援する清水・静岡市民の会/「冤罪・布川事件の国家賠償請求訴訟を支援する会」/無実のゴビンダさんを支える会/無実の死刑囚・袴田巌さんを救う会

この要請書は、以下にも複写をお送りしています。

滝 実 法務大臣

お問い合わせ