谷垣法務大臣による死刑執行に抗議する
2013年4月26日
NPO法人監獄人権センター
谷垣禎一法務大臣は,本日(4月26日),濱崎勝次氏,宮城吉英氏(いずれも東京拘置所)の2名に対し,死刑を執行した。
今回の執行は,自民党政権の復活後2回目,そして谷垣法相による前回の執行から僅か2か月余りでの執行である。谷垣法相は,昨年12月の就任以来,記者会見において,死刑制度そのものについて肯定的な態度をし,実際に法相就任から2か月足らずで死刑執行を行った。前回に続き,今回の執行も,法相自身による慎重な検討がなされたとは到底考えられない。
さらに,濱崎勝次氏については,2011年12月の死刑判決確定から1年4か月余りという短期間での死刑執行であった。死刑確定者は外部交通を著しく制限され,たとえ再審請求等の意思を有していても弁護人を獲得することすら困難な状況におかれている。今回の執行は,事前に執行の告知がない点とともに,死刑確定者の防御権の保障という観点からも大いに問題がある。
死刑廃止が揺るぎない国際的な趨勢となる中で,死刑制度を存置し,かつ執行を行う日本は,国際社会において年を追うごとに特異な存在となり,孤立を深めてきた。昨年10月には,国連人権理事会作業部会において第2回普遍的定期的審査(UPR)が実施され,24か国もの国々が死刑制度の廃止や停止等の勧告を行った。これに対し,その後の政権交代により復活した自民党政府は,本年3月14日の同理事会本会合において,これらの勧告の受け入れをすべて拒否し,死刑制度の存廃は各国が決すべき問題であって,制度の議論すら行う意思がないとの回答を行った。しかし,死刑は生命に対する権利という最も基本的な人権にかかわるものであり,死刑制度の存廃が内政問題に留まらないことは明らかである。来る5月21日,22日には国連拷問禁止委員会による第2回日本政府報告書審査が予定されているが,死刑制度及びその運用につき,日本政府に厳しい勧告が出されることは必至である。
監獄人権センターは,今回の死刑執行に強く抗議するとともに,死刑執行の停止,そして死刑制度廃止の政策的実現に向け,今後も取り組んでいく決意である。
以上