NPO法人監獄人権センター

STATEMENT声明・意見書

岩城法務大臣による死刑執行に抗議する

声明・意見書

2016年3月25日
NPO法人監獄人権センター

岩城光英法務大臣は,本日(3月25日)鎌田安利氏(大阪拘置所)および吉田純子氏(福岡拘置所)に対し,死刑を執行した。今回の執行は,昨年10月に就任した岩城法務大臣による,昨年12月に続く二度目の執行である。

鎌田氏は,75歳と高齢であり,人権団体が昨年実施したアンケートに対し「ボケがすすんでむつかしい事が分りません」と回答している。鎌田氏に対する執行は,「高齢者の執行に関し,より人道的なアプローチをとることを考慮すべきである」とした国連自由権規約委員会による勧告(2008年)に照らしても,問題があると言わざるを得ない。

吉田氏は,死刑判決確定後,再審請求を行っていたものの,昨年棄却されていたと伝えられている。再審請求棄却後,更なる再審請求が行われるまでの期間を狙った死刑執行である可能性が高い。2014年における国連自由権規約委員会の勧告をはじめ,死刑確定者およびその家族に対し,事前に予定されている死刑の執行日時を伝えるべきことは,繰り返し国連諸機関から求められてきたが,日本政府は一顧だにしない状況が続いている。

2020年,日本は国連の第14回犯罪防止刑事司法会議(コングレス)の開催国となる。日本政府が,死刑制度とその運用に対する国際社会からの勧告をことごとく無視し,死刑の執行に固執し続けることは,わが国の汚点を世界に晒すことにほかならない。今こそ日本政府は,死刑制度をめぐる上記を含めた数々の問題点を直視し,制度の廃止を視野にいれ,直ちに死刑制度自体の見直しを行うべきである。

監獄人権センターは,今回の死刑執行に強く抗議するとともに,死刑執行の停止,そして死刑制度廃止の政策的実現に向け,今後も取り組んでいく決意である。

以上

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