NPO法人監獄人権センター

STATEMENT声明・意見書

山下法務大臣による死刑執行に抗議する

声明・意見書

2019年8月2日
NPO法人監獄人権センター

本日、山下貴司法務大臣の命令により、庄子幸一氏、鈴木泰徳氏の2名に対して死刑が執行された。監獄人権センターは、この死刑執行に強く抗議する。

本年10月に予定されている即位の礼、2020年の東京オリンピック・パラリンピックと国連犯罪防止刑事司法会議(京都コングレス)に向け、日本に対して世界の注目が集まる中で行われた今回の死刑執行は、死刑制度が人権問題であることを否定する、現政権の姿勢を如実に示している。

昨年、オウム真理教の元幹部13名を一斉に処刑した際、日本政府はEU加盟国をはじめとした国際社会から強い抗議を受けた。にもかかわらず、昨年12月の執行に続き死刑執行を継続しており、日本政府は国際社会との対話を拒絶している。

報道等によると、庄子氏、鈴木氏はいずれも公判で責任能力を争っており、両名の執行については、精神状態の慎重な検討があったかどうかについても重大な懸念がある。とりわけ庄子氏は再審請求中であったとみられており、再審請求中の執行は、係属中の事件について司法判断を受ける死刑確定者の権利と、判断を行う司法の権限をともに否定するものである。国連の自由権規約委員会をはじめとする条約機関も、日本政府に対し、再審請求中の執行を行わないよう繰り返し勧告してきた。

本日の臨時記者会見において山下貴司法務大臣は、「慎重な上にも慎重な検討を加えた上で命令」したことを繰り返し述べたものの、一方で、「執行を妨げる事由がない限り、厳正に執行されなければならない」として、今後も死刑制度を維持し、執行を継続していくという政府の強い意思を表明した。日本政府は、国際社会の声に一切耳を傾けず、対話すら拒否し、かたくなに死刑の執行を継続することこそが「正義の実現」であるとの誤った考えから、解き放たれるべきである。

我々は、度重なる死刑執行にも決して屈せず、来年日本において国連犯罪防止刑事司法会議(京都コングレス)が開催されるのを好機ととらえ、これまで以上に国際社会と連帯し、日本政府・法務省に対して死刑の執行の停止と死刑廃止に向けた具体的な検討を直ちに開始するよう粘り強く求めていくことを改めて決意する。

以上

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